suga's blog 徒然なるままに
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ローザに伝えて

落合恵子 積極的その日暮らし
ローザに伝えて

 アメリカ合衆国に初のアフリカ系大統領が誕生する。

 予備選も含めて長い選挙戦での彼のキーワードは、CHANGE、変革だった。彼の登場と勝利そのものが、歴史的な変革の象徴ではある。

 勝利宣言のスピーチを読みながら思い出した女性がいる。まずは「アメリカ公民権運動の母」、ローザ・パークス。

 1950年代、南部モンゴメリーを旅してバスに乗ろうとしたら、あなたは不可思議な光景に出会ったはず。バスの前方入り口から入って運賃を支払うまでは、誰もが同じだ。白人はそのまま席に座ったが、「黒人」、アフリカ系アメリカ人は一度バスを降り、後方の「colored only」(アフリカ系専用口)から乗るしかなかった。席もまた分けられていた。実に差別的な「隔離政策」のひとつである。

 それに抵抗したのが、ローザだった。実際はそれ以前に10代の女の子や他にも試みたひとはいるが、彼女たちの存在はあまり知られていない。

 とまれその結果、ローザは不当にも逮捕され、それに抗議を表す、いわゆるバスボイコット事件となって全米に広がった。くしくも当時、モンゴメリーの教会に赴任してきた青年牧師が、後に公民権運動の理論的リーダーと呼ばれ、暗殺されるキング牧師である。

 ローザは3年前に亡くなったが、前掲の女の子は、健在であるかもしれない。元気であるなら、どこでこの新大統領誕生のニュースに接しただろう。

 新大統領の父はケニア人で、いわゆる「奴隷」の子孫とは微妙に違う。選挙戦でも、彼は人種問題は深追いせず、「ひとつのアメリカ」を強調した。一方、妻のミッシェルさんは予備選で訪れた南部で、ローザについて深く触れていた。

 勝利宣言で新大統領はリンカーンのゲティズバーグアドレスを引用し、「人民の人民による人民のための政治」を語った。

 変革を求める「人民」はわが国にも居るはずだが。(作家)(朝日新聞2008年11月15日付生活30面12版)



 米Apple Computer社(当時、現在Apple社)は、ローザ・パークス(Rosa Parks)が2005年10月24日に亡くなったことを悼み、同社のホームページに彼女がバスに乗っている写真を掲載した。
posted at 08:44:48 on 11/15/08 by suga - Category: Main

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