suga's blog 徒然なるままに
とりとめのないことを、徒然なるままに、書き留めておこうかと思います。

時も暦もない草庵の暮らし/人生のエネルギーは好奇心

月曜インタビュー 書家 榊莫山さん
時も暦もない草庵の暮らし/人生のエネルギーは好奇心

 書家、榊莫山さんの近著『草庵に暮らす』(岩波書店)は、静かな自然の営みの中を、着物と下駄(げた)で散歩し、気分が向いたら神の前に座し制作する、そんなゆったりした日々を書き下ろした随想集です。莫山さんは元気かな-。三重県伊賀市の山里のお宅を訪ねました。

 さかき・ばくざん 1926年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。学徒動員で鹿児島に赴き敗戦。書を辻本史邑、篆(てん)刻を梅舒適に師事。1958年書壇を退き、野に下る。以降は古典で作品を発表。著書は『野の書』『大和千年の路』『莫山つれづれ』など106冊に。

 詩・書・画の世界「榊莫山展」=25日〜31日、東京・日本橋高島屋6階美術画廊。

 草庵とは、築三百年の母屋、持仏堂・墓所を抱えた広い庭や林など榊家のことで、そこで、「うろうろ暮らしながら」書いて、「このごろ、わたしは毎日日(ひ)にち草庵にこもりっぱなしだ。ほとんど外出せず、あまり人もこない草庵は、とても静かで楽しい」(『草庵に暮らす』あとがき)。

 品良く造形的なツバメの巣、人懐こいマツタケ、ロマンある川魚そして大根・蕪(かぶ)の実りなど山里の四季折々の生活。書画の楽しみも。仕事場に置かれている時計は、動いておらず、腕時計はどこかにいって、「あんな不思議な、ばけもの」のような携帯電話もありません。

 「ボク自身の生き様を書いたので、なにか教訓や説教めいたこともない。八十三歳になって理屈付けて難しいことをいってもあかん。時々、ワサビをきかせたが…」

 昭和天皇と東条の責任

 そのワサビがきつい。一片の紙切れで学徒動員。「とつぜんペンをすてて、銃をかつがされた学生が、たちまち戦力になるはずがない。いくら学生を動員しても、屁のつっぱりにもならなんだ」「わからないのは、東条英機という戦争病にかかった陸軍の軍人たちだった」「学生のまま兵隊にさせられて、沖縄へやられる途中、敗戦となって、生命拾(いのちびろ)いして、故郷へ帰ってきた」(「戦争に負けた後始末」「赤目四十八滝」)。と中、原爆投下で一面焼け野原の広島を見て戦慄(せんりつ)します。

 「ぼくら大正二ケタ生まれは、戦争と貧乏を体験した悲しい世代や。学校に行く子のほとんどが草履だった。赤紙一枚で戦争に引っ張られ、二十歳まで『神国日本は絶対勝つ』と騙(だま)されてきた。あんなへんな戦争をした責任は、昭和天皇と東条英機たちや。それをタブーにするから、また戦争しようとする連中が『靖国』と騒ぐ。平和がええは」

 今月、七年ぶりに東京で個展を開きます。墨をすりながら、高橋真梨子*の歌をCDで聴く。そして、家の前の池の堤にある一畳もある石に腰掛け、メダカや小魚、木や山を見て時間を過ごします。

 「ボーっとしている時間が、作品や文章のイメージがわいてくるのに大切や。先日は、大和の室生寺、梅の名所の奈良・月ヶ瀬村(現・奈良市)に取材にいってきた。ええな、なんども行っているけど、その都度、新しいことに出合う。次の個展は、『雑木林』をテーマにしたいが…。好奇心とやる気は、ボクのエネルギーの源やな」

 蟹の横歩き僕の生き方

 子どものころ、祖父に呼ばれていくと、部屋には古い張り混ぜ戸襖(とぶすま)があって、蟹(かに)の絵とともに「人皆直行 我独横行」と書かれていました。「人はみな真っ直ぐに行くが、俺一人は横を行く-という意味でしょう。じいさんが、『こういう生き方もあるんや』というんや。生まれつきの性格もあるんやろうが、ボクは、その通りの生き方になってしもうたな」

 自民・公明政権の”日没近し”の政局です。新聞などの世論調査で麻生内閣の支持率は10%台、政権にしがみつく姿を見ていて。

 「あんな醜態を見せた総理大臣は戦後最低や。日本の漢字もよう読めん。テレビに麻生総理が出ると、見たくないからスイッチを切りたくなる。嫌いや」

 人物や行動の好き、嫌いがはっきりしている莫山さんです。「ボクは昔から日本共産党が好きや。いま、民主も自民も、民意から離れ、だらけている。共産党は、良いこと悪いことを、政治や世界のことで、きちんと判断して発言するところが好きやな。総選挙で議席を増やさんといかん」(澤田勝雄)(しんぶん赤旗2009年3月23日付文化9面)

 *紙上では「高橋真 子」。
posted at 08:45:10 on 03/24/09 by suga - Category: Main

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