suga's blog 徒然なるままに
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三鷹のワサビ田 危機

デイズDAYS
三鷹のワサビ田 危機/江戸時代から続く農家 嘆く/わき水減り 後継ぎも

 武蔵野の面影が残る東京都三鷹市の大沢の里で、古くから続いてきたワサビの栽培が危機にある。農家の後継ぎ問題もさることながら、ワサビ栽培に欠かせない清涼なわき水の量が減ってしまったからだ。(小島寛明)

 多摩川の河岸段丘が広がる東京西部の多摩地域は、わき水の豊富さで知られる。三鷹市西南部に位置する大沢の里も、国分寺崖線(がいせん)に沿って豊富なわき水が得られ、かつては良質なワサビの産地だった。

 この場所でワサビ田を守る農家、箕輪一二三(かずさだ)さん(86)は「昔、ワサビを作っていたという証しに続けている。今年の夏を越えられるかは、天候次第だね」と言った。

 箕輪さんの家では、江戸時代後期からワサビを作ってきた。1930年代ごろには約900坪(約3千平方メートル)ほどのワサビ田があった。ぜいたく品が禁じられた戦時中、栽培は一時中断したが、戦後、箕輪さんは航空機の整備工場の守衛として働く傍ら、栽培を続けていたという。

 異変が起きたのは10年ほど前だ。それまでは雨が降ると豊富にわき出した水が、雨の後もわかなくなった。何らかの原因で、地下水の流れが変わってしまったことが原因とみられている。

 長野県野菜花き試験場によると、ワサビは熱に弱い。水温が15〜16度を上回ると生育に悪影響があり、病害が発生しやすいという。豊富なわき水が流れていれば、夏場も15度ほどの水温を維持できるが、水の流れが滞ると水温が上がる恐れがある。

 箕輪さんは今、ポンプで地下水をくみ上げているが、量が少なく、真夏になると水温が上がり、多くのワサビが腐ってしまう。ワサビ田も100坪足らずに減った。「わずかに夏を乗り越えたワサビを植え替えて、全滅を防いでいるのがやっと」という。

 今も夏になるとホタルが飛び交う大沢の里の自然や古民家を保全する事業を、三鷹市は進めている。ワサビも貴重な「遺産」の一つ。市はくみ上げる地下水の量を増やしたり、保存栽培をする地域の人たちの組織を立ち上げたりすることを考えている。(朝日新聞2009年4月15日付夕刊12面4版)
posted at 20:06:43 on 04/15/09 by suga - Category: Main

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