suga's blog 徒然なるままに
とりとめのないことを、徒然なるままに、書き留めておこうかと思います。

記事の一部に問題/本社へ対応求める

記事の一部に問題/本社へ対応求める
共産党員増加めぐる報道に見解
朝日新聞「報道と人権委」

 共産党員の増加を取り上げた記事「ルポにっぽん 解雇…そこに共産党」(1月11日朝刊1、2面、筆者・高橋純子記者)をめぐり、記事に取り上げられた奈良県川上村の元森林組合長(85)から人権救済の申し立てがあり、朝日新聞社の「報道と人権委員会」(PRC)は24日、記述の一部は「事実として認めることができなかった」などとする見解を出した。人権委は、朝日新聞社に見解で示した判断を踏まえた対応を求めた。これを受け、朝日新聞社は本日付の2面に「おわび」を掲載した。



おわび 1月11日付「ルポにっぽん」の記事で、奈良県川上村の元森林組合長(85)が、民主党と共産党との「選挙協力」を「主導している」とあるのは、事実ではありませんでした。元森林組合長や関係者におわびし、関係する記述を削除します。=37面に報道と人権委員会の見解(2009年4月25日付朝日新聞2面14版)



申し立てのあった記事

 1月11日の記事は、1面から2面に続く形式のルポで、問題の記述は2面で川上村の情勢を伝えた最後の部分。記事は以下のとおり。
 ◇
 川上村の衆院4区は、次の総選挙で自民と民主の一騎打ちとなる見込みだ。水面下で「選挙区は民主、比例は共産」という「選挙協力」が進む。主導しているのは、村の元森林組合長(85)。50年来の自民党員だが、郵政民営化を契機に民主党支持に変わった。「民営化は必ず、地方や弱者の切り捨てにつながる」。共産党に投票することに抵抗感はないという。

 「自分の考えを持って行動しないと、村も政治も良くならないと思うようになった。それがなかったら、惰性で死ぬまで自民党支持だったかもしれない」

双方の主張

 問題になったのは、記事の末尾で紹介された川上村の選挙情勢に関する部分。元森林組合長(以下、元組合長)は、「記事に書かれているようなことは言っていない。共産党を支持しているかのような誤解を受けた」と、元組合長に関する記述について事実や思想信条に反すると主張した。

 一方、筆者が所属する朝日新聞政治グループは、元組合長と、元組合長を紹介した共産党村議が同席する場で、双方の了解の下に取材した結果に基づく記事だと主張していた。

 人権委は、当事者からのヒアリングに加え、関係者や村民から現地で聞き取り調査した。

争点

 主な争点になったのは、元組合長が次期総選挙で、「選挙区は民主、比例は共産」という「選挙協力」を主導しているとする記述。衆院4区では民主党から川上村出身者が立候補を予定している。見解はまず、この候補者を支持している元組合長が昨年9月ごろ、懇意にしている共産党村議との間で「選挙区は民主党、比例は共産」などという話をした事実はあるが、この際の話は「個人的な票のやりとりのことであり、組織的な協力の話ではなかった」と認定した。

 さらに、「取材の場で選挙協力について話しが及んだ可能性がある」としながらも、その場で協力の具体的な内容が詰められていないこと、取材後も裏付け取材が行われていないことを指摘した。

 そのうえで見解は、記事で「選挙協力」と表現した点について、元組合長が奈良4区で組織的な票のやりとりを主導しているように読め、誤解を与える可能性があるとした。

 また、人権委の現地調査から、元組合長が村民に共産党への投票を働きかけるなどの選挙協力の実態は認められず、視覚障害のある元組合長の日常生活などからみても、選挙協力を主導することはほとんど不可能と判断される、とした。

 こうした理由から、選挙協力に関する記述は、事実と認めることができない。と判断した。

 他の記述については、そのような内容が取材の席で出た可能性はあるなどとしつつも、元組合長の真意を伝えているか疑問だ、などとしている。

結論

 結論として見解は、元組合長が記事掲載後、食欲が減退し、人目を避けて外出を控えるようになったと訴えている事情を考慮し、元組合長の救済、読者への説明責任という観点から、朝日新聞社側に何らかの対応を取ることを求めた。

 人権委は、朝日新聞と朝日新聞出版に夜取材・報道による人権侵害等をめぐる紛争の解決を図るための第三者機関。委員は本林徹・元日弁連会長、長谷部恭男・東大大学院教授、藤田博司・元共同通信論説副委員長の3氏。
 ◇
 見解の全文は、朝日新聞のサイト(http://www.asahi.com/shimbun/prc/)に掲載しています。

許されぬ記事反省すべきだ

 元森林組合長の話 恣意(しい)的な記事によって、私の信条を誤解され、名誉と信用を傷つけられました。許されることではないと思います。朝日新聞社は反省すべきであり、責任の所在.取り方を明らかにするよう求めます。人権委には、「地方の小さな訴え」に誠実に対応していただき感謝します。

重く受け止め今後も配慮

 根本清樹・朝日新聞政治エディターの話 報道と人権委員会の見解を重く受け止めます。取材や文章表現の上で、関係者の人権に十分配慮し、より正確な記事を目ざして今後も努力を重ねていきます。(朝日新聞2009年4月25日付社会37面14版)
posted at 12:35:31 on 04/25/09 by suga - Category: Main

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コメント

曽我浩 wrote:

朝日の記者にはまったく悪意はなかった。しかし、今日の日本社会のような共産党アレルギーの強い中での記事は他の記事を書くときの数倍の注意深さが必要だと思う。
05/05/09 15:15:24

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