森繁久彌さん死去

　ラジオ、映画、テレビ、舞台と幅広い分野で名演技を見せ、戦後半世紀以上にわたって大衆芸能の第一線で活躍した俳優、森繁久彌（もりしげ・ひさや）さんが10日、老衰のため東京都内の病院で死去しました。96歳。大阪府出身。葬儀の日程は未定です。

　1913年５月４日生まれ。36年に早稲田大学を中退して東宝へ。39年NHKにアナウンサーとして入局、旧満州（中国東北部）の新京中央放送局に勤務し、終戦を迎えました。50年、映画「腰抜け二刀流」に初主演。「警察日記」「駅前シリーズ」「夫婦善哉」などでファン層を広げました。

　テレビでは、「七人の孫」「おはじのヒゲ」「だいこんの花」など数多く主演。ラジオでは、57年から始まったNHKの「日曜名作座」で加藤道子さんとコンビを組んで、08年３月まで半世紀続く長寿番組となりました。

　舞台では、51年にミュージカル劇「モルガンお雪」、67年初演のミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」など。

　2004年にテレビドラマ「向田邦子の恋文」、映画「死に花」に出演して以後、俳優としての活動を休止、今年７月下旬に発熱し、入院していました。

　79年に芸術選奨文部大臣賞、91年には現代演劇・映画俳優で初めて文化勲章を受賞しました。日本俳優連合の三代目理事長も務め、俳優の権利向上のために尽力しました。

　「しんぶん赤旗」創刊記念に際してたびたびメッセージを寄せ、昨年の80周年にも寄稿しました。また、96年から06年までは元日付のエッセーが恒例となっていました。（しんぶん赤旗2009年11月11日付社会15面B版）