suga's blog 徒然なるままに
とりとめのないことを、徒然なるままに、書き留めておこうかと思います。

妖怪はどこから生まれた

ひとインタビュー

豆腐小僧シリーズ新作 小説家 京極夏彦さん

妖怪はどこから生まれた

きょうごく・なつひこ=1963年北海道生まれ。世界妖怪協会、関東水木会会員。『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、『覘き小平次』で山本周五郎賞、『後巷説百物語』で直木賞を受賞。『豆腐小僧』はアニメ化され公開中。『豆腐小僧双六道中おやすみ』は角川書店。


 「妖怪はいない」

 妖怪ミステリーの第一人者が断言します。では、なぜ怪異にこだわるのか。新作『豆腐小僧双六道中おやすみ』では、まぬけなお化けの珍道中を軽妙に描き、妖怪の存在意義にも踏み込みます。

 「この時期にお化けなんて不謹慎と思われるかもしれませんが、お化けは本来、つらい現実を笑い飛ばす『強さ』から生まれたもの。物理的復興は急務ですが、笑顔を取り戻すための心の復興も大事だろうと思います」

 人間にとって妖怪とは―。

 「長い歴史の中で、数えきれない悲惨な出来事がありました。そうした負の現実と向き合い、受け入れ、笑いにまで昇華したものが妖怪なんです」しんぶん赤旗日曜版2011年5月22日号36面

 *   *

 〝師匠〟は漫画家の水木しげる。5歳で『ゲゲゲの鬼太郎』を購入しアニメにも影響されました。小学時代から民話や推理小説、漫画などを乱読しました。

 広告代理店勤務を経て独立し、デザイン会社を設立するもバブル崩壊で仕事が激減。仕事の合間に書いた小説を出版社に送ると編集者が一気に読了し出版を即決しました。

 「もし小説を拾ってもらえなかったら、路頭に迷っていたかもしれません。杜氏、デザイン関係の仕事は本当に駄目でしたから」

 長文な作品を連打しています。

 「通勤時間がないので『起動』したら、すぐ仕事。気がつくと、ご飯の時間。済んだら仕事。またご飯。よく忘れるんですよ、トイレとか、のどが乾(ママ)いたとかいうことを(笑い)。気がつくと、1年終わってます」

 スランプは?

 「芸術家ではありませんし、才能があるとも思わないので、わかりません。仕事ですから、どんなに嫌でもきちんとやろうと努力するだけです」

 *   *

 近著『オジいサン』では、72歳の独身男性の日常生活と心理を細々と描きました。

 「特別なことは一切起きません。日常のささいな喜怒哀楽こそが人生だと思うんです。若いころから『老成』にあこがれていたんですが、人間はなかなか成長しませんね」

 〝老年賛歌〟を熱く語ります。

 「老いることは『悪』という風潮が強すぎます。師匠の水木しげるは『ボケが一番の贈り物』といいます。年をとることを恥じない生き方はかっこいい。まあ、師匠は妖怪に近いんですが(笑い)」

 今年のモットーは「幸せは歩いて来ない。実はそこらに落ちている」。

 「幸せかどうかは本人次第です。探せばその辺にごろごろ落ちている。背中のかゆいところをぴったりかけたとか、そういうどうでもいいことの積み重ねこそを大事に生きたいですよね」

 金子徹記者/撮影・野間あきら記者(しんぶん赤旗日曜版2011年5月22日号36面)
posted at 17:36:08 on 05/25/11 by suga - Category: Main

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