suga's blog 徒然なるままに
とりとめのないことを、徒然なるままに、書き留めておこうかと思います。

「これほどの不条理ない」 米軍機墜落想定の日米訓練

「これほどの不条理ない」 米軍機墜落想定の日米訓練

東京新聞 2013年11月6日 09時58分

 米海軍厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)で五日、米軍機が住宅地に墜落した事故を想定した日米の合同訓練が関東地方で初めて行われた。しかし、米軍機が基地外で墜落した場合、日米地位協定に基づき、日本側の捜査権は大きく制限される。1977年、横浜市の住宅地に米軍機が墜落した事故で、妻が全身やけどの重傷を負った同市緑区の椎葉寅生(しいばとらお)さん(74)は「これほどの不条理はない」と憤る。 (小沢慧一)

 「事故の真相は解明されなかった」。椎葉さんは事故から36年たった今でも、事故当日のことは忘れられない。

 勤め先から戻ると、家の周辺には規制線が張られ、県警の警察官が立っていた。自宅があることを説明し、規制線の中に入ると、家は焼けて柱だけになっていた。

 ぼうぜんとしていると、警察官に「何分いるのか」と、規制線の外に出された。中では米軍関係者が墜落機の残骸を拾っていた。「加害者は残り、被害者は自分の家に近づけないのか」。怒りが込み上げた。

 国に何度も事故原因を尋ねたがまともな説明はなく、補償の話ばかりされた。「責任の所在がわからないと補償の話はできない」。墜落した米軍ファントム機の乗員と国に損害賠償を求める訴訟で真相を究明する決意をした。

 当時、現場検証は日米合同で行われたが、墜落機の部品は米軍が回収した。日米合同の調査でも、米軍が墜落機のエンジンを米国に持ち帰るなど、主導権は米軍が握った。

 裁判では、事故原因について「エンジンの整備不良が原因だが、整備中発見できないもので、故障は予知できなかった」と結論づけられた文書を国が提出しただけ。責任の所在は明確にされず、真相解明には程遠かった。

 椎葉さんは「日本政府は米軍側に立ち、丸く収めようとしかしない。一体どこの国の政府なのだ」と悔しさをにじませる。

 沖縄国際大学大学院の前泊博盛(まえどまりひろもり)教授は「今事故が起きても、対応は当時と変わらないだろう」と予測する。

 ガイドラインが策定され、日米共同で事故現場に近い内側の規制線を、日本側が外側の規制線を管理することになった。だが事故機の残骸は米軍が管理する。

 前泊教授は「日本側は内側の線より、さらに内側にある墜落機の残骸に触れられない。ガイドラインは日本が現場から締め出されることを公式化しただけだ」と指摘する。

<米軍ファントム機墜落事故> 1977年9月、横浜市緑区荏田町(現・青葉区荏田北)に米軍のファントム機が墜落。民家5棟が全半焼し、3歳と1歳の男児と母親が死亡し、6人が重軽傷を負った。米軍機の乗員2人はパラシュートで脱出して無事だった。78年、妻が重傷を負った椎葉寅生さんが刑事告訴したが、横浜地検は日米地位協定を理由に不起訴。80年、乗員と国に損害賠償を求めて横浜地裁に提訴。判決では、公務中の米軍人にも日本の裁判権が及ぶと判断したが、賠償責任は認めず、国が椎葉さんに約4600万円を支払った。
(東京新聞)
posted at 11:11:01 on 11/06/13 by suga - Category: Politics

コメントを追加

:

:

コメント

No comments yet

トラックバック

TrackBack URL