ひとインタビュー
豆腐小僧シリーズ新作 小説家 京極夏彦さん
妖怪はどこから生まれた
きょうごく・なつひこ=1963年北海道生まれ。世界妖怪協会、関東水木会会員。『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、『覘き小平次』で山本周五郎賞、『後巷説百物語』で直木賞を受賞。『豆腐小僧』はアニメ化され公開中。『豆腐小僧双六道中おやすみ』は角川書店。
「妖怪はいない」
妖怪ミステリーの第一人者が断言します。では、なぜ怪異にこだわるのか。新作『豆腐小僧双六道中おやすみ』では、まぬけなお化けの珍道中を軽妙に描き、妖怪の存在意義にも踏み込みます。
「この時期にお化けなんて不謹慎と思われるかもしれませんが、お化けは本来、つらい現実を笑い飛ばす『強さ』から生まれたもの。物理的復興は急務ですが、笑顔を取り戻すための心の復興も大事だろうと思います」
人間にとって妖怪とは―。
「長い歴史の中で、数えきれない悲惨な出来事がありました。そうした負の現実と向き合い、受け入れ、笑いにまで昇華したものが妖怪なんです」
しんぶん赤旗日曜版2011年5月22日号36面
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